愛を待つ桜
警察は聡の名前と住所を確認するだけで、彼らはあっさり引き上げて行った。
待合室で待機していた車のドライバーも、被害者の夫が駆けつけて来たことを聞いたのだろう。飛んでくると、聡に向かって頭を下げた。
「すぐにブレーキを踏んだんですが……サイドミラーが当たってしまって。本当に申し訳ありませんでした。大事に至らないといいんですが」
夏海と歳もそう変わらないであろう、20代の女性だ。
軽い接触なら重傷であるはずがないのに。その心配そうな表情は、逆に聡を不安に陥れた。
そして、医者から告げられた言葉に、聡はまたもや自分の罪を思い知らされる。
「外傷はかすり傷程度で大したことではありません。ただ、奥様は妊娠されてますね。まだ意識が戻られませんので、お話を聞くことができませんが。おそらくは4週目辺りだと思われます。何か聞かれておいでですか?」
「……いえ……」
掠れた声で否定しつつ、聡は首を横に振る。
待合室で待機していた車のドライバーも、被害者の夫が駆けつけて来たことを聞いたのだろう。飛んでくると、聡に向かって頭を下げた。
「すぐにブレーキを踏んだんですが……サイドミラーが当たってしまって。本当に申し訳ありませんでした。大事に至らないといいんですが」
夏海と歳もそう変わらないであろう、20代の女性だ。
軽い接触なら重傷であるはずがないのに。その心配そうな表情は、逆に聡を不安に陥れた。
そして、医者から告げられた言葉に、聡はまたもや自分の罪を思い知らされる。
「外傷はかすり傷程度で大したことではありません。ただ、奥様は妊娠されてますね。まだ意識が戻られませんので、お話を聞くことができませんが。おそらくは4週目辺りだと思われます。何か聞かれておいでですか?」
「……いえ……」
掠れた声で否定しつつ、聡は首を横に振る。