愛を待つ桜
夏海は事故の翌日には意識を取り戻した。
怪我はかすり傷程度。もちろん後遺症もない。
そしてお腹の赤ん坊は、かなり危険な状態ではあったがどうにか持ち直した。よほど生命力があったのだろう、と医者が感心するほどだ。
意識が戻ると同時に、夏海は産婦人科のベッドに移されたのである。
由美は早産の影響から、退院までに10日も掛かった。だが夏海は、なんとその倍近くもの入院を余儀なくされる。
ベッドに寝たきりの絶対安静から、ようやくトイレまでの往復が許可されたころ、実光とあかねが悠を病院に連れて来てくれた。
5日ぶりに母親に会え、悠は安心したのか夏海のベッドで眠り始める。
点滴はまだ外せないが、自由になる左手で夏海は悠の髪を撫でてやった。
「ママがいないって大泣きしてね。聡さんでも駄目で、私や亮子さんが添い寝したんだけれど、ぐっすり眠れなかったのね」
「悠がご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした」
ベッドに座ったまま、夏海は頭を下げる。
怪我はかすり傷程度。もちろん後遺症もない。
そしてお腹の赤ん坊は、かなり危険な状態ではあったがどうにか持ち直した。よほど生命力があったのだろう、と医者が感心するほどだ。
意識が戻ると同時に、夏海は産婦人科のベッドに移されたのである。
由美は早産の影響から、退院までに10日も掛かった。だが夏海は、なんとその倍近くもの入院を余儀なくされる。
ベッドに寝たきりの絶対安静から、ようやくトイレまでの往復が許可されたころ、実光とあかねが悠を病院に連れて来てくれた。
5日ぶりに母親に会え、悠は安心したのか夏海のベッドで眠り始める。
点滴はまだ外せないが、自由になる左手で夏海は悠の髪を撫でてやった。
「ママがいないって大泣きしてね。聡さんでも駄目で、私や亮子さんが添い寝したんだけれど、ぐっすり眠れなかったのね」
「悠がご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでした」
ベッドに座ったまま、夏海は頭を下げる。