愛を待つ桜
「さあ……どうかしら」

「双葉さん?」


双葉は少し悲しそうな笑みを浮かべた。
冷めかけたお茶に口をつけると、ひと言ひと言噛み締めるように言う。


「夫婦ってふたりで夫婦って言うのよ。家庭もそう――どちらかが頑張って作り上げて、相手に与えるものじゃないの。迷いながら、間違いながら、それでも諦めずに作り続けて行くのが夫婦で家庭だわ」

「でもっ!」


双葉の言わんとすることは判る。


「でも、聡さんは一方的に切り離したのよ! 私を信じてもくれなかった。ずっと待ってたのに……探し出して迎えに来てくれるって、私は信じて待ってたのよ!」


双葉に言っても仕方ない。判ってはいても、夏海は思わず叫んでいた。


「そうね、辛かったわね。でも、一条くんも同じだったとは思わない?」

「同じ?」


夏海は心の奥がピクッと震える。


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