愛を待つ桜
「な、つみ……それは……どういう」

「私にも、神様の前で永遠の愛を誓って欲しい。あなたの想いを……愛を込めた指輪をはめて欲しいの!」


聡は驚きのあまり、瞬きも忘れて夏海を見つめた。


「この子も……私はひとりで産むの? 重い荷物を持ってくれたり、ベビー用品を一緒に選んだりしてくれないの? 陣痛が来たら、手を握って励まして欲しい。よく頑張ったねって言って欲しいのに……また、ひとりにするの?」

「言って、いいのか? 私が、お前の傍にいて構わないのか? 夫だと……子供の父親だと言うのを許してくれるのか?」

「私は……あなたに愛して欲しいの。愛してるって言って欲しい、それだけよ」


ふわっと、花がほころぶ様に夏海が微笑んだ。


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