愛を待つ桜

「……愛してる……」


聡はそのまま夏海を抱き寄せ……きつく抱き締めそうになり、慌てて力を緩めた。


そしてふたりの視線が絡まり、唇が重なった。


ふたりの唇にわずかな隙間ができるたび、聡は愛を囁く。

何回も、何10回も、繰り返し「愛している」と。

そしてそれは、決して消えない愛の証となって、ふたりの胸の奥に刻まれて行き――。


やがて、3桁に達しようかという頃、夏海は笑って「もういいわ」と許してくれたのだった。



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