愛を待つ桜
もちろん、言ってる夏海は真剣である。


他の女性とはどうだか判らない。でも、聡が夏海を抱く時は、執拗なくらい離れようとしない。夏海のほうが降参しそうなほど、満ち足りた夜を与えてくれる素晴らしい男性なのだ。


「いいわねぇ~~~。月イチのうちの宿六《やどろく》に聞かせてやりたいわ!」


そんな双葉の言葉に夏海はハッとした。笑ってはいるが、双葉の頬が引き攣っている。


「き、如月先生と双葉さんは、ほら、結婚して13年じゃないですか? 私たちが13年経った頃には……聡さんは50歳過ぎちゃうし」

「だからやめてってば。私は一条くんより年上なんだからっ!」


これ以上のノロケはご免と言って、双葉はさっさと休憩を切り上げて業務に戻って行った。


「不満は私じゃなくて、直接亭主に伝えなさい」


それが双葉のアドバイスであった。



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