愛を待つ桜
1時間後――。
風呂上りの悠を着替えさせ、寝かしつけてくれたのは聡だった。
夫婦の寝室に籠もりっぱなしの夏海の傍に聡はやって来る。彼は余計なことは何も言わず、妻の隣に腰を下ろした。
「で? 花屋のレシート1枚で、私が何をしたと言うんだ?」
「それだけじゃないわ。この間は100万以上の物を黙って買ってたじゃない。そりゃ、聡さんのお金なんだから好きに使ったらいいけど……。夫婦の間で、相談もなしに使う金額じゃないと思っただけよ。それに……10日くらい前、接待で遅くなったって言ったでしょ? でも帰って来た時、家とは違う石鹸の匂いがしたわ。たった1ヶ月よ、それでもう、私に厭きちゃったの? 愛してるって、そう言ってくれたのに」
聡は無言で立ち上がり、部屋から出て行った。
言い訳もしないで居なくなるなんて。やっぱり、子供がいたから仕方なく結婚したのかも知れない、と夏海は切なくなる。
ところがすぐに聡は戻って来た。
そして、ベッドの端に座り込む夏海の前に跪いたのだ。
「あの……聡さん?」
風呂上りの悠を着替えさせ、寝かしつけてくれたのは聡だった。
夫婦の寝室に籠もりっぱなしの夏海の傍に聡はやって来る。彼は余計なことは何も言わず、妻の隣に腰を下ろした。
「で? 花屋のレシート1枚で、私が何をしたと言うんだ?」
「それだけじゃないわ。この間は100万以上の物を黙って買ってたじゃない。そりゃ、聡さんのお金なんだから好きに使ったらいいけど……。夫婦の間で、相談もなしに使う金額じゃないと思っただけよ。それに……10日くらい前、接待で遅くなったって言ったでしょ? でも帰って来た時、家とは違う石鹸の匂いがしたわ。たった1ヶ月よ、それでもう、私に厭きちゃったの? 愛してるって、そう言ってくれたのに」
聡は無言で立ち上がり、部屋から出て行った。
言い訳もしないで居なくなるなんて。やっぱり、子供がいたから仕方なく結婚したのかも知れない、と夏海は切なくなる。
ところがすぐに聡は戻って来た。
そして、ベッドの端に座り込む夏海の前に跪いたのだ。
「あの……聡さん?」