愛を待つ桜
「ごめんね、お兄ちゃんにばかり押し付けちゃって」
「別にいいけどさ。でも……5人目とか、言わないよね?」
「いやあね、もうっ! お父さんもお母さんもそんなに若くありませんっ」
母は頬を染めて横を向くが……ふたりが充分に若く、夜も仲が良いことを悠は知っている。
標準以上に大きな我が家ではあるが、両親が窓を開けたままで――そういう場合は、悠がベランダに出ると筒抜けなのだ。
(でも、絶対に言えないよな……僕は将来気をつけよう)
相手もいないのに気の早い心配をしていると、突如、携帯電話が鳴った。
画面を見ると、思ったとおり桜。悠は苦笑しながら電話を取り、
『また迷ったのか? 何が見える? 場所を動かず……』
『お兄ちゃん、真が大変なの! すぐに来てっ!』
「別にいいけどさ。でも……5人目とか、言わないよね?」
「いやあね、もうっ! お父さんもお母さんもそんなに若くありませんっ」
母は頬を染めて横を向くが……ふたりが充分に若く、夜も仲が良いことを悠は知っている。
標準以上に大きな我が家ではあるが、両親が窓を開けたままで――そういう場合は、悠がベランダに出ると筒抜けなのだ。
(でも、絶対に言えないよな……僕は将来気をつけよう)
相手もいないのに気の早い心配をしていると、突如、携帯電話が鳴った。
画面を見ると、思ったとおり桜。悠は苦笑しながら電話を取り、
『また迷ったのか? 何が見える? 場所を動かず……』
『お兄ちゃん、真が大変なの! すぐに来てっ!』