愛を待つ桜
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『あ! ほら、あのお兄ちゃんだよ。超カッコよかったぁ。ヒーローみたいだった!』
 

園内にあるバイキングレストランに家族で入ったとき、近くのテーブルから女の子の声が上がった。

どうやら先ほどの小学生らしく、ゲレンデでの真の勇姿を家族に話しているらしい。


「ヒーローだってぇ。モテるじゃない、真くんてば」

「姉さん、うるさいよ」


桜のひやかしに、真は照れながらそっぽを向いた。

だが、真にすれば得意満面である。


「別に係員とか来なくても平気だったけどね」

「まことお兄ちゃんカッコいい~」


紫にも褒められて鼻高々だ。

 
そのとき、父が厳しい声で真に言った。 


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