愛を待つ桜
(2)後悔の一夜
キッと車が停まる。気がついたらコーポの前に着いていた。
「どうもありがとう……」
夏海は小さな声で聡に礼を言う。
焦るような手つきで子供のシートベルトを外したとき、チャイルドシート側のドアが開いた。
「私が抱えよう」
「いえ、そんな……」
「鍵を開けるのに不自由だろう」
既に聡は子供を抱きかかえる体勢だ。
実を言うと、夏海は家の前で聡を追い払おうと考えていた。
聡に自分の不実さを詫びる意思がないことは明らかだ。
悠の存在を認めたとしても、金の話になるのは目に見えている。
だからこそ、これ以上厄介な事態になることだけは避けねばならない。
職場でもあんな状態になるくらいだ。職場以外では絶対にふたりきりになってはいけない。
夏海はそう決意していた。
しかし、聡はどうやら悠を抱えたまま部屋の中まで入るつもりらしい。
眠ってる我が子を力任せに奪うわけにもいかず……夏海は鍵を開け、渋々聡を迎え入れた。
「どうもありがとう……」
夏海は小さな声で聡に礼を言う。
焦るような手つきで子供のシートベルトを外したとき、チャイルドシート側のドアが開いた。
「私が抱えよう」
「いえ、そんな……」
「鍵を開けるのに不自由だろう」
既に聡は子供を抱きかかえる体勢だ。
実を言うと、夏海は家の前で聡を追い払おうと考えていた。
聡に自分の不実さを詫びる意思がないことは明らかだ。
悠の存在を認めたとしても、金の話になるのは目に見えている。
だからこそ、これ以上厄介な事態になることだけは避けねばならない。
職場でもあんな状態になるくらいだ。職場以外では絶対にふたりきりになってはいけない。
夏海はそう決意していた。
しかし、聡はどうやら悠を抱えたまま部屋の中まで入るつもりらしい。
眠ってる我が子を力任せに奪うわけにもいかず……夏海は鍵を開け、渋々聡を迎え入れた。