愛を待つ桜
☆。.:*:・゜★
久しぶりの、子供とふたりきりの休日である。
ここしばらくは休日でも朝から、と言うより、その前の晩からずっと聡が部屋にいた。
“将を射んとすれば”かどうかは判らないが、悠にやたら高いおもちゃを買ってくるのも困りものだ。
だが、悠は喜んでいる。
それもそのはず、今まで母親以外でこんな風に遊んでくれる人などいなかったのだから。
ふたりが並んで座っていると目頭が熱くなる。
当たり前のように与えられるはずだった父親とのふれあいを、2歳半まで知らずに育ったのだ。
それだけじゃない。
聡が一方的に夏海をふしだらと決め付けていることで、悠は父親から我が子と認められずにいる。
申し訳なさと口惜しさで、夏海は気が緩むと泣いてしまいそうだ。
「ママぁ。おじちゃん、もうこないの?」
悠は聡になついてしまった。
これも策略か、と思えば悔しさは倍増である。
「おじちゃんはお仕事なの。ママがお休みで一緒にいるから、寂しくないでしょ? どこかに遊びに行こうか?」
努めて明るく言うが……悠は答えず、そのまま作りかけのブロックの元に戻ってしまった。
昨日の夜、夏海が『しばらくは無理』と言うと、聡はそそくさと帰って行った。
多分、1週間は来ないだろう。
聡が夏海に望むのはソレだけなのだ。
その証拠に、どれほど激しい口論をした後でも、必ず体を重ねようとする。
確かに、夏海も望んでないとは言わない。だが、セックスのための結婚などしたくなかった。
彼が飽きたら、今度はどんな言いがかりをつけられて、息子を取り上げられるか想像に難くない。
3年前は悠がいたから立ち直れた。でも、今度は……。
夏海は再び捨てられることを考えるだけで、いかに聡を愛してるか身につまされる。
たとえ嘘でも『愛してるから妻にしたい』と言ってくれたら、また騙されると判っていても、彼の言いなりになるだろう。
すでにもう、言われるまま、何度も体を許してしまっている。
そのとき、夏海の考えを遮るように玄関のブザーが鳴った。
久しぶりの、子供とふたりきりの休日である。
ここしばらくは休日でも朝から、と言うより、その前の晩からずっと聡が部屋にいた。
“将を射んとすれば”かどうかは判らないが、悠にやたら高いおもちゃを買ってくるのも困りものだ。
だが、悠は喜んでいる。
それもそのはず、今まで母親以外でこんな風に遊んでくれる人などいなかったのだから。
ふたりが並んで座っていると目頭が熱くなる。
当たり前のように与えられるはずだった父親とのふれあいを、2歳半まで知らずに育ったのだ。
それだけじゃない。
聡が一方的に夏海をふしだらと決め付けていることで、悠は父親から我が子と認められずにいる。
申し訳なさと口惜しさで、夏海は気が緩むと泣いてしまいそうだ。
「ママぁ。おじちゃん、もうこないの?」
悠は聡になついてしまった。
これも策略か、と思えば悔しさは倍増である。
「おじちゃんはお仕事なの。ママがお休みで一緒にいるから、寂しくないでしょ? どこかに遊びに行こうか?」
努めて明るく言うが……悠は答えず、そのまま作りかけのブロックの元に戻ってしまった。
昨日の夜、夏海が『しばらくは無理』と言うと、聡はそそくさと帰って行った。
多分、1週間は来ないだろう。
聡が夏海に望むのはソレだけなのだ。
その証拠に、どれほど激しい口論をした後でも、必ず体を重ねようとする。
確かに、夏海も望んでないとは言わない。だが、セックスのための結婚などしたくなかった。
彼が飽きたら、今度はどんな言いがかりをつけられて、息子を取り上げられるか想像に難くない。
3年前は悠がいたから立ち直れた。でも、今度は……。
夏海は再び捨てられることを考えるだけで、いかに聡を愛してるか身につまされる。
たとえ嘘でも『愛してるから妻にしたい』と言ってくれたら、また騙されると判っていても、彼の言いなりになるだろう。
すでにもう、言われるまま、何度も体を許してしまっている。
そのとき、夏海の考えを遮るように玄関のブザーが鳴った。