藍に染まる
「ありがとう」なんて陳腐《ちんぷ》な言葉じゃ足りないぐらいなのに、貴方はそれで満足だ、と言って微笑んでくれる。
気を使えば、怒るし。風邪を引けば、大事な仕事を放り出して看病してくれる。
――何処までも優しくて、温かい貴方。
でも、その優しさの裏には、とても深い悲しみと、過去があるなんて、あの時の私は、思いも、気付きもしなかったんだ。
もし、また会うことが出来るのなら、あの日伝えられなかった言葉を伝えたい。
その時、貴方は、逃げずに、ごまかさずに、聞いてくれますか?