藍に染まる
▼後、一歩
名前、呼んで
「もう少し、上手く鳴くことはできないんですか?」
「……っ。もっ、もう、無理…ですっ」
私が上げる悲鳴に彼がクスリと妖艶《ようえん》に笑う。
「……っ」
その笑みに私が弱いことを知っていてわざとするから性質《たち》が悪い。
「…その顔、誘っているんですか? ……赤ずきんちゃんもやるようになりましたね」
クスクスと笑いながら彼はそういうと、すっと目を細めて私を見つめてくる。
「狼、さんは、……狡いっ!」
「“狡い”、ですか? 俺からしたら、結構甘いほうなんですけど、ね」
「……っ(そんな、こと、思ってもいないクセに)」