ラブ・パニック【短編】
だって、ありえない。
「……舞さんは? 柚木さんには彼女がいるのに、悪ふざけはやめてくださいよ」
「本気だ。舞には、『好きな子と付き合える見込みがないなら、付き合ってくれ』と、強引に押されて付き合いだしただけなんだ。バレンタインに里緒ちゃんからチョコをもらえなくて、諦めてしまって。でも、今日、一緒にいてわかったんだ。俺が好きなのは舞じゃなくて、里緒ちゃんだ」
あたしと東くんの関係と一緒だ。
あたしは柚木さんが好きで、あたしも柚木さんが好きで。
でも、どうしてだろう。
うなずけない。
脳裏には、東くんの笑顔がちらつく。
「あたしは−−……」