ラブ・パニック【短編】
2.ラブファイト!
結局、東くんの押しに負けて、彼氏が出来なかったら付き合うってことになってしまった。
「……はぁ」
「どうしたの、里緒ちゃん? ため息なんてついて」
「ゆ、柚木さん、なんでもないです」
「おっと、危ないよ」
好きな人に覗きこまれて、動揺してしまい、持っていたお盆の上の皿とグラスがぐらついた。
そのお盆を柚木さんが一緒に支えてくれ、手と手が触れあい、ドキンとした。
「すみません、ありがとうございます」
「さげてきた空の器とはいえ、物を運んでるときにぼうっとしたら、ダメだよ」
「はい、本当にすみません」
もう洗い場の前まで来ていたので、食器を置く台の上にお盆を置いて、もう1度謝った。
「よし、わかったならいいよ」
「ありがとうございます」
やっぱり、柚木さんが好きだ。
ダメなことはダメと言う。