裏表ラバーズ
ふいに謝る声がした。
見ると物分かりの良さそうな男子が立っていた。


『僕らがいくら言っても直さなくて…』


「あ、いえ…あの、」


『あっ!ごめんね。僕、三川堅士。1年C組、哉琉と一緒だよ。よろしく。』


三川堅士(ミカワケンジ)。
確か、すごくテンション高くて天然だってゆいちゃんから聞いた。


「あ、私は…」


『知ってる。1-Bの中里莉依胡ちゃんでしょ?』


私が自己紹介をする前に知っていたらしい。


「どうして…」


『だって、僕のクラスの女子も莉依胡ちゃんの話しばっかするからさ。覚えちゃったよ。』


そうか、そこまで私は人気者だったのか(女子に)。


「呼び方、りぃでいいよ。ちゃん付けとか堅苦しいからさ。」


『そうだね、じゃありぃで。あ、僕はケンでいいからね。』


「じゃあケンで。」


『うん。』


こうして莉依胡ことりぃには新たな友達が出来た。


「所でケン。」


『ん?』


「あの哉琉ってヤツを直すにはどうすればいいのかな?」

『…ぇ、うーん…それは僕にも分かんない。』


「そっか〜ありがと。」


私は何も分からなかったのにお礼を言い、自分の教室へと戻った。


「ねぇ、どう思うよアイツの事。」


タコ様ウインナーをフォーク刺しながらさなとゆいちゃんにさっきの事を話す。

『まぁ、酷いっちゃぁ酷いけど…気持ちは分かる。』

「私は分かんないね!!」


『り、りぃっ!もう少し落ち着こう?』


『モテる男は辛いよね。』

「アイツ、自分はカッコいいって絶対自覚してる!!」

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