【短編】ロック☆チョコレート
魔法にかけられたみたいだ。
…悪く言えば金縛り。
先ほどと違って彼は立ち止まってあたしを見(下ろし)ている。
話すチャンスなのだけど。
……なんて話すわけ?
後ろを振り向いても、この状況を作り出した彼女はもう居ない。
…ええい!
もう、どうにでもなれ!
「き、昨日の!」
「…………」
「昨日のライブ見たよっ」
勇気を振り絞る。
少しの勇気も、
出してみればたいした事ない。
……でも。
「……だから?」
彼はあたしの勇気を粉々にしてしまった。
…勘違いだ。
彼に恋したなんて、勘違いだ。
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