【短編】ロック☆チョコレート
世界が広がって行くって、きっとこんな感じ。
ロックなんだけど聴きずらくない音。
たったひとつの音で
心をわしづかみにされた……。
あたしの目線はボーカルでもベースでもドラムでもなく、彼。
彼だ。
「…っ………」
目が、合った気がした。
吸い込まれそうになるぐらい甘い瞳。
身のこなしも、いちいちがエロい。
まるで挑発されているみたいだ。
中山、奏弥。
あんた一体何者なの…?
あたしの知ってる中山奏弥は、ここには居ない。
居るのは、あたしの心を掴んで離さない、中山奏弥。