俺はもう猫じゃない!

駐輪場について、自転車を留める。

「銀も自転車練習しなよ」

自転車にいつものように鍵をかけて、後ろにたつ銀を振り返る。

「えー。湖都の後ろに乗れば必要ないじゃん」

銀は私に乗せてもらう気マンマンだ。

「じゃあ、あんな目立つことしないでよ!それと、あんた目立つから髪の毛黒にしなさいよ。」

銀色の髪の毛なんて見てくださいと言っているようなものだ。

「やだね。俺の大事な髪だもん。それに俺の毛が銀だから、湖都は銀って名前つけただろ?」


「それも、そうだね…」

たしかに黒髪の銀を想像したけど、全然銀じゃなかった。


私たちは講義を受けるために、教室に向かった。私は銀に校内を説明をしながら、ふと通りかかった中庭をみた。ここは大学のパンフレットにはかならず写真が使われている、とても綺麗な庭。
この庭のベンチが私のお気に入りの場所。
すると、そのベンチでだれかが寝ている。帽子で顔がかくれているけど…
間違いない!あれは雪斗くんだ!


「知り合い?」

「うん!銀、ちょっとここで待ってて!」


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