俺はもう猫じゃない!
私はそっと寝ている雪斗くんに近づいた。
次の講義は雪斗くんも一緒のはずだ。いきなり肩を叩いて、起こしてやろう。
私はワクワクしながら、ゆっくりと近づいた。

今日の雪斗くんはPaul Smith(ポールスミス)のワークキャップにチェックシャツ。グレーの七分のスウェットパンツ。VANS(バンス)のスニーカー。

あれ?雪斗くん、耳に穴空いてたっけ?
よくよくみると左耳に穴が空いていて、右耳には黒くて小さなピアスがついていた。


ワークキャップで顔が隠れていたから、私はそっとワークキャップに手を伸ばした。

「睫毛長いなぁ…」

目を閉じているから、睫毛の影がより濃くうつる。色が白いからなおさら。
それだけで私の心臓はきゅんと音を鳴らした。

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