HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]
「ねぇ、何で一緒なの?」


裕美があたしに尋ねた


「だって、怖いんだもん」


ぎゅーとゆみにだきついた


「あたしからだ洗いたいんだけど」


裕美があたしの家にきた瞬間、"お風呂かして!"と言ってきた


裕美が来てくれただけで、心強いのに弱虫なあたしはやっぱりまだ怖い


なおちゃんが、怖いと思う日がくるなんて....


「ちーさ?また考え事?」

「ん?あたしぼーっとしてた?」


首を傾げて裕美を見た


「ぼーっとしてた、直人のこと気になるの?」


裕美には見透かされてるなぁ


「怖いの、なおちゃんが」

「昔はすごく優しくてね?絶対に人を傷つけない人だったのに、何で変わってしまったんだろう」


下を向くと髪の毛から雫が落ちる


「あいつは優しくなんかない、昔から残酷で冷酷だよ。自分がピンチにらると、仲間を売ったり、仲間を警察に突き出したり、仲間を...殺したり。自分がよければ手段を選ばない。そんな男だよ」


なおちゃんがそんな人だったなんて、知らなかった


あたしの隣にいたなおちゃんは偽物だったの?


いつから、龍王のナンバーワンだったの?


いつからなの?分からない、なおちゃんの目的が


本当にあたしなの?


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