HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]
「―――――によ‼バカぁぁぁぁぁぁ‼‼‼‼」


裕美の怒鳴り声で起きた


何が起きたのか分からなくて急いでリビングへ行った


「おはよ~、どうしたの?」

「千紗!朝起きたらこいつがいてびっくりしたよ‼‼‼」


裕美があたしの元に近寄ってきてゆうちゃんに指を指した


「裕美朝からうるさいよ」

「あとねあとね!あたしが恩返しのために朝食作るって言ったら“お前の料理くったら腹壊すから作るな”っていうんだよ!?ひどくない!?」


裕美が興奮しながらあたしに話してくる


「俺、小学生の時裕美の作った飯食って腹壊したし」


ゆうちゃんが参った顔ではぁとため息をついた


「まぁまぁ、2人とも落ち着いて。そこは間を取ってあたしがつくるから!」

「千紗のほうがなんか心配なんだけど」


裕美が目を細めてあたしを見た


「そんなこと言わない!絶対おいしいって言わせて見せるから」


椅子にかかっていたエプロンを取ってエプロンをつけて料理をし始める


料理を作ることが大好きなあたしは、趣味で料理教室に通ってたことがある


腕には自信があるんだ


パッパッと料理を仕上げていくあたしを見てゆうちゃんが微笑んでいた


裕美は未だにべそをかいてテレビを見ている


ガチャ


玄関のドアが開く音がして、あたしは手を止めた


「遊かな?」


リビングに近づいてくる足音を聞きながらまた手を進めた


「ただいま...ゆうさん!?」

「よぉ遊」


お互いに“ゆう”と呼び合う2人を見て面白くてくすくす笑ってしまった


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