HAZE GRASS 〜かすみ草〜［完］

「にやけてないもん」


嬉しいをだもん


だって始めてのお揃いだもん


ふてくされたようにあたしは顔を彬ちゃんから背けた


「悪かったよ」


彬ちゃんは顔を背けたあたしの頭を撫でた


それだけでも、あたしの胸がキュンってなる


直ちゃんの時はなかったのに


自分で好きだっておもってただけだったのかな


告白だって直ちゃんからだったし


直ちゃんと付き合っていく内に好きになってたんだ


そっかぁ、あたしいつの間にか彬ちゃんを好きになってたんだ


「千紗」


低い声で呼ばれて急いで彬ちゃんの方に振り返った


やばい、彬ちゃん怒っちゃったかな？


ゆっくりと彬ちゃんの方に体を向けた


「なぁに？」
「今から観光だってさ」

彬ちゃんがだるそうに言った


観光ってどこいくんだろう


でも、たのしみだぁ～


またあたしの顔が笑っていたことは言うまでもない