HAZE GRASS 〜かすみ草〜[完]
ブーブー...ブーブー...


ポケットの中に入ってる携帯が震えた


「ちょっとごめんね」


涙を吹いて、携帯を耳に当てた


「はい」

『俺、何時に終わる?』

「んー、お昼からは試合だからなぁ」

『じゃ、迎えにきて欲しいとき電話しろよ』


彬ちゃんからの電話を切って、裕美の方に振り返った


「彬ちゃん、迎えにきてくれるんだって」


にっこり微笑むと裕美がホッとした笑みを見せた


「ボール拭かなきゃ」


ボールを片手に持ってさっきの場所に戻った


戻ると先輩が笑いながら陰口を言ってきた


「部活中に彼氏と電話って、なに考えてるのかわかんないわ」


はぁ、まだ言い足りないのか?


無視して、ボールを磨いた


いいじゃん、私だってやることやってんだから


「いじめられてんなぁ」



空耳かと思った、でも顔をあげれば空耳じゃないのがわかってしまった


体育館の観客席の手すりに手をかけてたのしそうに笑ってあたしを見下ろしていた


「なんでいるの」


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