風華の空
遠ざかっていく足音を聞きながら冬夜は体を起こし、何とか着替えを済ませると再びベッドに倒れ込む。
それとほぼ同時に彩都が戻ってきた。
「着替えたのか。ほら、何がいいか聞くの忘れたからお茶だ」
彩都は氷とお茶の入ったグラスをベッドの横の机に置いた。
「ありがとう…」
力なく礼を言うと冬夜はのろのろと身体を起こした。
「俺は自分の部屋にいるから。何かあったら呼べよ」
冬夜が頷くのを確認してから彩都は静かに部屋を出ていった。
彩都が部屋を出てから持ってきてもらったお茶を一口飲む。
冷たいお茶は体に染み渡るようだった。
グラスを机に置くと冬夜は気絶するように眠りに落ちた。