風華の空
不良たちを何とか撒くと冬夜は人のいない廊下を選んで教室向かった。
ホームルームが始まる直前、冬夜は疲れきった様子で自分の席に座った。
「今日はちゃんと朝からいるんだな?」
すぐに机に突っ伏した冬夜に、前の席に座った屋良がおはよう、と声をかけた。
「昨日もいたぞ…」
「俺が来たときにはいなかったじゃん。で、今日はどうした?」
「……ちょっとな。」
冬夜の昨日と同じ返事に屋良はわざとらしくため息をついた。
「あの怪我はどうした?誰に絡まれた。昨日と今日、悠妃を追い回してたやつらは同じやつか?原因はなに?それから…」
「質問が多い!」
次々と質問を挙げていく屋良の言葉を遮るが、屋良は真剣な顔で冬夜を見ている。
「それだけお前が質問されることがあるってことだ。全部話してもらうからな。」
言い逃れは出来そうにない。
「…わかったよ。説明はする。」
屋良には話せないこともあるし、何より教室では誰が聞いているかわからない。
それに聞きたいこともある。
「1限さぼるぞ。」
言うが早いか、席を立ってドアに向かう冬夜を屋良は慌てて追いかけた。