風華の空
廊下に出るとすぐに悠妃を呼んだであろう生徒たちが視界に入った。
その相手を確認した悠妃はバレないように小さくため息をついた。
「ついて来い」
短く告げると悠妃は生徒たちを引き連れてしばらく歩き、授業に使用する教室から離れたところにある空き教室に入った。
「で、今日は何の用だ?」
悠妃を呼び出したのはいつも何かと理由をつけて喧嘩をふっかけてくる4人組だった。
入学してすぐに目を付けられて以来度々喧嘩をしている。
「いつもみたいにつまらない理由だったら今度にしてくれ。今、眠いんだよ」
「今日のことは覚えがないとは言わせねぇぞ!」
ビシッと効果音が付きそうなほど勢い良く不良その1がこちらを指すが、何のことだかさっぱりわからない。
そのことが顔に出ていたようだ。
「おまえが昨日の放課後、声をかけた奴のことだよ!」
言われてみれば、昨日は偶然女子生徒に声をかけたような気がする。
しかし、そのことと、今こうして彼らが悠妃に文句を言っていることとが、どう繋がっているのかわからない。
第一、悠妃は声をかけた女子生徒の名前すら知らないのだ。
本気で悩んでいると、今度は不良その2がとんでもないことを言い出した。