ランデヴー
「じゃぁどうして聞くの?」


「いぃや、俺でさえあまりのイケメンっぷりにビックリしたから、さ」


彼はそう言って、私の大好きな顔で笑った。


彼は笑うと目尻が下がってとても優しい表情になる。



私が勤めているのは超が付くほど大手の電気機器メーカーで、色んなグループ会社を傘下に持つ。



とは言っても、私が所属するのは宣伝や企画など、華やかな部門ではない。


生産や出荷を管理する部門で、それは区分されたほんの1部とは言え、リアルタイムでとにかく忙しい。



私がいるチームは、工場や印刷会社、その他メーカーへの発注作業をしている。


幸いなことに、倉橋君は初日に顔を見せた後は説明を受けるだけで姿を消し、会社のオリエンテーションで1週間会っていなかった。


お陰でかなり仕事に集中できていた。


経理への報告や生産スケジュールの関係で忙しい月初に、新入社員の教育なんて……考えただけで目が回りそうだ。
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