ランデヴー
だが。



そんな時間は長くは続かない。


彼が時間を気にし始めると、私の浮足立った心は地の底へと落ちる。



もう時間?


もう帰るの?


もう少しいいじゃない?



引き止めたいのをぐっと堪え、私は彼を送り出す。



一緒にいられる時間はいつも短い。



それでも私は幸せだった。


幸せだと思っていないと、心が空っぽになってしまうから。



社内恋愛ということだけだったら、私はもっと幸せに毎日を過ごすことができただろう。


彼とは課が違うとは言え同じ部署だから、もしかしたら周囲には内緒にしたかもしれないが。


そこまで人目を気にすることなく、将来を見据えて幸せな恋愛ができたに違いない。
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