ランデヴー
「何度も……悩んだし考えた。でも……俺と妻が別れることはできないんだ」


「そんな……こと……。私は、望んでないよ……?」


今までに1度だってそんな話をしたことがあっただろうか?


何故今、そんなことを言い出すのか。


胸の中がざわざわと騒ぎ出し、たまらず私は胸元をギュッと握りしめた。



「この先、俺とゆかりが一緒になることはできない。そう考えると、俺はこのままでいいのか頭がおかしくなりそうになることがある」


「どういう……こと?」


「いつまでも、このままでいることはできない、ということだ」


陽介の言葉は、鈍器で頭を殴られたような衝撃を私にもたらした。


あまりの言葉に、耳を塞ぎたくなる。



「俺はね、ゆかり。君には幸せになって欲しい。ちゃんと結婚して、子供も産んで、幸せな人生を――」


「わかんない!」


陽介の口から勝手に語られる、陽介なしの人生が耐えられなくて、私は大声でそれを遮った。
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