ランデヴー





「倉橋です。今日からよろしくお願いします」



バタバタとした日々が過ぎ去った頃。


倉橋君が1週間ぶりに姿を見せ、私の隣の空いていたデスクに落ち着くこととなった。



そのデスクは2カ月程前まで派遣社員の女性が座っていたのだが、昨今の不況で契約を打ち切られてしまい、今は空席だった。


海外にも拠点を構え、何かと取り引きも多いこの会社は、円高の煽りをダイレクトに受けていた。


経費削減の文字は、フロア内でもチラホラ目にする。



「坂下です。よろしくお願いします」


部長に連れられて方々へ散々挨拶回りを済ませ、最終的に私の所へやってきた彼に、私も立ち上がってペコリと頭を下げる。



久しぶりに見た倉橋君はやっぱり男前で、気を緩めると見惚れてしまいそうだった。


私は特別ミーハーな方ではないが、ここまでの美青年を目に前にすれば、「かっこいいなぁ」と思う心はそれなりに持ち合わせている。


これからは毎日目の保養だな、とこっそり考えた。
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