ランデヴー
「え、何!?」


「コレ。こんなことしなくてもいいよ」


うろたえる私に陽介がスッと手を伸ばし、かけていた眼鏡をするりと外す。



今日の私は黒縁のだて眼鏡をかけていて、それはせめてもの変装のつもりだった。


もしも知り合いに会ってもごまかせるように……。



「だって……」


拗ねるように視線を落とした私のストレートの髪に指を絡ませするりと撫でると、陽介は目を細めて私に笑いかける。



「今日は何も気にしないで、楽しもう」


そう言って眼鏡を私に手渡すと、車を発進させた。


そんな陽介の姿に胸をときめかせ、私は眼鏡をカバンにしまう。



そうだ、今日はこの前みたいに気にする必要はないんだ。


きっと、大丈夫。


胸に手を当てて、そう言い聞かせた。
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