ランデヴー
こんなにも近くで今日1日を過ごすことができるんだと思うと、私は胸がいっぱいになってしまい涙すら出そうになる。


あぁ、幸せだ……そう心から実感する。



私達の行き先は、富士山だった。


「どこか行きたい所はある?」と問われ、紅葉を見に行きたいと答える私に、陽介が提案してくれたのだ。


だから私は山ガールもどきの、かなりカジュアルな格好だ。



「そういうのも、新鮮でいいな」


陽介が赤信号の隙に私の姿を見て、目を細める。


いつもと違う格好について触れられ、少し気恥ずかしい気持ちになった。



かくいう陽介も、今日は会社で見るよりもずっとカジュアルな服装だ。



「うん、私も陽介のそんな格好初めて見た。新鮮でいいね」


二人で顔を見合わせて、クスクスと笑い合った。


本格的な登山をする訳ではないので、お互いジーパンだったのがペアルックみたいで嬉しくなる。
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