ランデヴー
途中目的の手前で高速を降り、少し早いランチを摂ることにする。
「お、まだあって良かった。ここの蕎麦が美味いんだ」
「へぇ」
陽介は何度か富士山に登ったことがあるらしく、この辺りの道には詳しかった。
お店に入って陽介と向かい合わせに座ると、久々な感覚に何だか少し緊張してしまう。
今日は何もかもが新鮮過ぎて、私の心臓はずっとドキドキが止まらない。
「陽介って、良く山に行くの?」
注文を終えておしぼりで手を拭きながら、私は何の気なしに尋ねた。
「あー……昔、な。学生の頃は登山系のサークルに入ってたから、結構あちこち行ったかなぁ」
「そうなんだ、なんか意外」
陽介はどちらかと言うと、雰囲気的にインドアな気がしていたから。