ランデヴー
「あぁ……そうだな。良く会社近所の居酒屋行ったなぁ」


「うん、懐かしい。陽介お酒飲まないのに、私が飲みたいからって付き合ってくれて」


「ゆかりが心配だったんだよ。俺が付き合わないと、1人ででも行って飲み過ぎるだろ」


陽介の言葉に、私はあははっと声を上げて笑う。



陽介のことが好きだった私は、あの頃もこうして向かい合う度にドキドキしていたっけ。


頼れる職場の先輩と、その先輩を慕う後輩。


その一線を越えてからは、外で会うことを自重した。



例え見つかったとしても会社の同僚ですと言えば済むのだろうが、私は罪悪感に付きまとわれて上手い言い訳なんてできそうもなかった。


少しでも噂になると、関係を続けることは難しくなるだろう。



家の中で会えればそれでいい。


陽介の為に料理を作るのは楽しかったし、2人で伸び伸びとした時間が持てた。
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