ランデヴー
有料道路に入ると、路肩に車を停めるスペースがある。
私達はそこに車を停め、色付く木々を眺めた。
ちょうど紅葉のシーズンで、晴れた空に見事な色彩が映えている。
「富士山見えてきたね!」
「あぁ、この辺からの方が良く見えるかもしれないな」
車外に出てうーんと背伸びをすると、山際に雄大な富士山が頭をちらりと覗かせているのが目に入った。
紅葉と富士山両方を視界に入れることができ、正に絶景だ。
若干の寒さに身震いする私の肩を、陽介がそっと抱き寄せる。
それだけで、私の心の中にもポッと明るい色彩が射し込んだ気がする。
2人並んで見る景色は、全てが色濃く輝いて見えた。
「あのね、陽介……」
しばらく2人静かに景色を眺めていたが、私は今日どうしても実行したいことがあり、少しもじもじしながら陽介にそれを切り出すことにした。