ランデヴー
「ねぇ、倉橋君なんていいんじゃない?」


佐和子は突然声をひそめ、コソコソと耳打ちするように顔を寄せてきた。



「……は?」


「ゆかりのその腐った関係を清算する為には、かなり優秀な駒になってくれると思わない?」


「ちょっと、何言ってんの? 怒るよ?」


「だってー……」


佐和子と私のたわごとは、ぞろぞろと食事を終えた人達が戻ってきたことによって終了となった。



「あ! 戻ってきた!」


佐和子は目ざとく倉橋君を見つけると、急いで髪の毛を整えて席を立つ。


私は苦笑いを浮かべながら、2人のやり取りを横目で眺めていた。
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