ランデヴー

<2人の絆>

今まで泥沼な不倫話を耳にしても、自分はそうはならないという自信があった。



何故なら私は陽介を愛しているから。


大好きな人を困らせることなんて絶対にしたくないし、大好きだからこそ何でも許せる。



例え突然ポイッと捨てられたとしても……私は陽介を恨んだりはしないだろう。


そんな確信があった。



でも……そんなの嘘だ。


現に今、私は愛情の裏に憎しみが潜んでいるのを感じていた。



陽介と奥さんとその子供……3人の幸せの裏で、私だけがひとりぼっちになるんだ、って。


私だけが外れくじを引いたように、指をくわえてそれを見ているのか、って。



陽介に子供ができても、きっと私はそれを喜んだりなんてできない。


幸せになって、なんて口が裂けたって言いたくない。



それどころか、陽介を縛って縛って縛り付けて、できることなら幸せを邪魔してしまいたい。


心の奥底にそんな醜い感情がどろどろと渦巻くのを感じて、私は自分が怖かった。
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