ランデヴー
こうして友人の幸せを素直な気持ちで応援できている自分に、少し安堵する。


佐和子の幸せを妬むようになってしまったら、人としてもう終わりだと思っていたから。



大丈夫、私はまだそこまで堕ちていない。



倉橋君はどうやら毎日酷い顔色をしている私のことが心配らしく、食事だけでも一緒にしないかと誘われたが、それはさすがに断った。


倉橋君の気持ちをわかっていて週末にまで付き合わせてしまうのは、申し訳ない気がしたから。


それでなくても彼の気持ちを利用しているようなこの状況は、少なからず私に後ろめたさを感じさせているのに……。



倉橋君は誘いを断る私に「ご飯だけは絶対に食べて下さいね」と何度も言い含めた。


私は曖昧に返事をしたがその言いつけを守ることなく、結局昨日からろくな食事ができないでいる。


ずっと泣きたい気持ちと苦しい気持ちに支配され続け、食事をするどころじゃない程に心が疲れていた。



でも、家にいると会社にいる時より気持ちが楽だ。


正直、会社で陽介の姿を見るのは辛い。



今までこんな風に思ったことはなかった。


毎日でも会社に行きたい程に、私は陽介のことが好きだったから。
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