ランデヴー

＜背徳の果てに＞

私と陽介が初めて出会ったのは、入社後すぐに配属された総務部にいた時のことだった。



その頃の私は、初めての社会の厳しさに打ちのめされていた。


まだ20歳だった私が学生気分で甘かったということもあると思う。



仕事を教えてくれたのは、堺さんという女性の先輩だった。


最初はいい先輩だと思っていた。


派遣社員の女性達とも仲が良くて、私をその輪に入れてくれたのは彼女だった。



だが、私がランチや飲み会を断るようになると、だんだんと態度が変わっていった。


仕事を教える態度もおざなりになり、できないと「この前教えたでしょう？」と身に覚えがないようなことで、みんなの前で叱りつけた。



私が先輩達の誘いを断るようになったのは、彼女達の金銭感覚について行けなくなったからだ。


就職してすぐに1人暮らしを始めた私は、食事にそんなにお金をかける余裕はなかった。
< 317 / 447 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop