ランデヴー
そんなある日、私は致命的なミスを犯してしまった。



それは社内に配る予定のとあるサンプル数を集計するという、至極簡単な仕事だった。


私達のセクションが担当した商品に関するものだが、たくさんの事業部が関わって企画された為、全グループから大量の希望数が掲示板に上がってきていた。



だが総務部内の雑用を一手に引き受けていた私はとにかく忙しくて、そのことをすっかり忘れていた。


当日の朝になって突然「今日中に出しておいて」と堺さんに言われ、一応メモ書きしておいたものの、それを見る暇もなかった。


定時になった頃、「サンプル数出た？」と堺さんに問われ、その時初めてそれを思い出すという最悪な状況に一気に真っ青になったものだ。



そんな自らのミスで1人遅くまで会社に残ることになり、私は泣きながら膨大な数のそれを集計していた。


私の胸には、境さんが帰り際に溜息と共に吐いた「馬鹿なの？」という言葉が、深く突き刺さっていた。



どうしようもなく溢れる涙を止めることができず、なかなか作業が進まない私の所にやってきたのが、陽介だった。
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