ランデヴー
2Fには、同じ系列会社の出張所がある。


そこで遅くまで打ち合わせをした帰り、同じく2Fにある総務へついでに寄ったらしい。



「すみません、ボールペンの替え芯下さい」


1人ぽつんと残って残業をしていた私を見付けた陽介は、総務の受付カウンター越しにそう声をかけてきた。


突然声をかけられた私は慌てて涙を拭って立ち上がったものの、赤い目と涙の痕は簡単に隠すことはできない。


彼はそんな私に驚き、「どうしたの?」と目を見開いた。



「いえ、すみません。何でもないです」


変な所を見られて気が動転した私は、俯いてそう言った。



「替え芯ですよね。どれですか?」


「あぁ、これなんだけど」


差し出されたボールペンを受け取り、引き出しから同じ型番の替え芯を探す。


そんな私に、陽介は再び尋ねた。
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