花は野にあるように
「それじゃ時間もあんまりないし、大地。
窓際の………えーと?」


「苑生です。」


先生が僕を見て、言葉に詰まってしまった。


僕は小さな声で自分の名を告げながら、悲しい気分に浸り込みそうだった。


高等部にはクラス替えがないから、ずっと同じ担任で、級友って事になる。


1年の4月ならまだしも、2年も終わろうかっていう2月に担任に覚えてもらってない僕って一体………。


「あ、そうだったな。
苑生の後ろの席へ着いて。
………それと、おまえ制服早くなんとかしろよ。」


「あぁ。
特注になるんで、日数かかるらしいってんでコレにしたんですが………やっぱマズイですか?
まともな服って、これぐらいしかないんですよ。」
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