花は野にあるように
えっ!


ドキリとした。


地面を見てってことは………?


山元先生の菊の鉢は落っこちちゃったって事だよね。


ど、どうしよう。


「割れちゃった………?」


僕はおそるおそるリョクへと訊ねる。


「ん?
いや、鉢は無事だぜ。」


ちょっとだけ僕を見て、それから屈み込んだリョクは両手に抱えるようにして何かを持ち上げようとしている。


あ、手伝わなきゃ。


ようやくその事に頭が行って、僕も台の前へと近寄る。


そんな僕の前に、バランスをとりながらゆっくりとリョクが引き上げた先生の菊の鉢がそうっと置かれた。
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