花は野にあるように
「大事にしてるなら、鉢にマジックで名前なんて書かねえよ。
普通の神経持ってりゃな。」


リョクはぼそりとそんな事を言うけど。


これを割ってしまっていたかも知れない僕としては同意できない。


「ホントに割れてなくって良かった………って、そうだ!
花はっ?」


植木鉢にばかり目がいって、花の無事を確かめてなかった。


なんてマヌケなんだろう。


自分にちょっと腹を立てながら、僕はゆっくりと鉢から視線を上げていく。


土からスックと立ち上がっている3本の茎は、太く天を目指していて。
< 1,010 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop