花は野にあるように
「リ………リョク………。」


助けを求めるように、僕はリョクを見る。


「ん。
折れちまってんな。」


パキリと折れている茎を見ながらリョクが言ったその言葉は、僕が何をしでかしてしまったのかをもう一度僕に認識させる。


「僕………。
僕、なんて事をっ!」


先生から預かっている大切な花なのにっ!


信頼して預けてくれた先生に、何て言ってお詫びすれば良いんだろう。


「あ………と。
なぁ、ミキ?」


自分がやってしまった取り返しのつかない失敗に、目の前が真っ暗になりそうな僕の耳に、リョクの声が聞こえてくる。
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