花は野にあるように
リョクの存在を感じられないだけで、僕の鼻の奥がツーンと痛くなってきた。


どうして、泣きそうな気持ちになっちゃうんだろう。


昨日は間違っちゃったけど、ちゃんと声を出して言えたのに。


満員電車だって、苦手だけど毎日ちゃんと普通に乗れていたのに。


どうして、今日はおんなじように出来ないんだよ、僕っ!


どうしても、声を上げることの出来ない僕の事をどう思ったのか。


電車の揺れたスキに、その手は。


前へと移動してきた。


もう、やだ。


泣きそうで。


苦しくて。


僕はもう諦めて、ぎゅうっと目をつぶった。
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