花は野にあるように

「ん。
じゃ、座って？」


そう囁くリョクの声が、呪文のように僕の身体を動かしてしまう。


とん、と軽く肩を押された僕はカクリと崩れるように椅子の上に座らされかけて。


「え、え？
わ、うわわわっ！」


僕の体重がかかった途端にずぶずぶと地面に足を飲み込まれながら沈み始めた椅子に、僕は思わず変な声を上げてしまった。


「や、なっ！
なにこれっ！」


驚いて立ち上がろうとする僕を、リョクは大きな掌を広げて押し留める。


「そのまま座っていて。
ミキの体重で、沈むところまで沈めたいから。」