花は野にあるように
割りばしを挟んだままの右手で器用に感謝の意を表して、リョクは左手に持ったスチロール素材の器からご飯をかきこみ始めた。


「んー、うめっ。
あ、しまった。
卵、忘れてたよな。
ミキの器、出して。」


呼び掛けられて、ぼんやりとリョクの食べる姿に見入ってしまっていた僕は、あわてて自分の器を差し出す。


「生卵、苦手じゃないよな?
入れていい?」


え?


「あ、うん、嫌いじゃないけど………?」


そう返事が終わるかいなかって所で、僕の器の中に卵が降ってきた。


「しっかり食って、大きくなれよ?」
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