花は野にあるように
片手で器用に割った卵のカラを花壇の縁に置きながら、リョクはニヤリと笑う。


大きくなれよって!


「ひどいよっ。
僕だって、好きで小さいままなんじゃないんだからねっ!
いつか、シュワルツネッガーみたいな、たくましくって強い大人の男の人になるんだからっ!」


むうって思いながら、僕はついうっかり宣言してしまう。


リョクは自分の牛丼の上に、卵を割り入れた格好のまま一瞬止まって僕を見る。


そして。


「ミキ、それって………野望?」


だなんて、真顔で聞き返してきた。
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